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認知行動療法

認知行動療法

「認知行動療法」は、代表的なカウンセリング(心理療法)法のひとつです。今日、世界でも最も広く実践されている、心の問題の専門的な解決法です。世界中の専門家が、うつ病をはじめ不安症や依存症など心の問題の多くには、認知行動療法と薬物療法の組み合わせがベスト、と考えております。とりわけ、問題がまだ軽症、苦しみの初期の段階にあれば、薬物療法よりも優先させるべきであるとされています。
「認知」とは受け止め方のパターンを、「行動」とは環境への働きかけのパターンを意味します。受け止め方や環境への働きかけのあり方、そこに生じている悪循環をある「専門的な理解の枠組み」でとらえ直し、効果的な生活の送り方を段階的に獲得していきます。心理的なリハビリテーションとも言えます。
無意識や前世、今さら変えられない過去の経験や生まれつきの要因にこだわるのではなく、未来志向・解決志向な工夫で治療は進みます。今直面している問題へ対処する方法を具体的に考案し実践することが中心となります。相談にこられた方のご理解を重視しながら「二人三脚」で進めます。支援の過程全体の透明性が保たれるので、安心して支援を受けていただくことができます。
逆に、「その程度のことなら専門家の世話にならずとも?」と思われる方もあるでしょう。しかし、自分を変える、自分の生活パターンを変える、そのモチベーションを維持するということは、実際には、当事者がひとりで、あるいは家族の支援だけではなかなかうまくいかないものです。認知行動療法は、効果が科学的に実証された手法であり、それを、学会などで長年研修を積んできた経験豊富な専門家が「道案内」させていただくことで、より成功確率の高い支援が実現します。

Q&A

カウンセリングの内容についてのQ&A

Q:そもそも認知行動療法とは何ですか?

A:「認知行動療法」とは、心理カウンセリング(心理療法)の進め方のひとつです。今日、世界でも最もポピュラーな、心理的トラブルの解決法です。世界中の「心の専門家」が、うつ病をはじめ不安症や依存症などの解決・解消に、認知行動療法と薬物療法の組み合わせがベストであると考えております。とりわけ、その困難・苦痛が軽症で初期の段階にあれば、薬物療法よりも優先させるべきであるとされています。
「認知」とは「ものの受け止め方」、「行動」とは「環境への働きかけ」を意味します。これらには、人によっておよび状況によって、一定のパターンがあります。そのようなパターン(癖)にある悪循環を、セラピスト(カウンセラー)とともに「少しばかり専門的なある理解の枠組み」でとらえ、よき生活の送り方を段階的に獲得してもらいます。「受け止め方やふるまい方のリハビリテーション」とも言えます。「認知」という言葉から「認知症の治療法?」と勘違いされることがありますが、それはまったくの誤解です。

Q:認知行動療法と他のカウンセリング(心理療法)の違いはなんですか?

A:カウンセリングの進め方の中には、人の前世を遡る、深層心理を分析する、といった、似非科学的色彩の強い方法もあります。認知行動療法はそれらとは一線を画します。また、どちらかといえば、「今さら変えられない過去経験や生まれつきの要因にこだわる」ことよりも、未来志向・解決志向な工夫の積み重ねで進んでいきます。直面している問題へ対処する方法を具体的に考案し実践してみることが中心となります。問題が比較的単純な場合は、「既成のある技法」を単純に実践していただくことで、すぐ楽になれることもあります。ただし多くの場合、相談におみえになった方がお持ちの個性、生活の有り様などに応じて、「オーダーメード」な認知行動療法を提供させていただくことになります。

Q:認知行動療法は訓練的な色彩が強いのですね?

A:そういう言い方もできます。相談にこられた方のご理解を重視しながら、セラピストは「二人三脚」で進めさせていただきます。多くの場合、セラピストまかせでは、期待される改善は得られにくくなります。ただし、なぜこのようなやりかたをする必要があるのか、を丁寧に説明し、ご本人に納得してもらいながら進めます。困っておられるご本人やご家族、身近な支援者の方にも納得して取り組んでもらえるカウンセリング(心理療法)である点が、最大の特徴です。「当事者の知る権利」が尊重される現代において、認知行動療法が世界で広く受け入れられているのはそのためです。

Q:おおよそどのようなことで進むのでしょうか?

A:まず、相談にお越しになった方のお困りが、どのようなカテゴリーに含まれるのか、そしてその深刻さはどの程度にあるか、について整理させていただきます。大人でも子どもでも、その中間の思春期青年期においても、心が不調になる時のパターンには、いくつかの典型があります。そして、ベターな認知行動療法を提供させていただきます。その点が、「どんなお困りにでもほぼ同じサービスを提供する」時代遅れのカウンセリング(心理療法)との違いです。

Q:ということは、認知行動療法にはいくつか種類があるということです?

A:おっしゃるとおり。認知行動療法には、さまざまな技法がある、とご理解ください。それらを組み合わせます。まるでお薬の調合のように技法を組み合わせますが、お薬と違って副作用の心配はありません。認知行動療法として共通するのは、問題の出現しやすい状況、実際の問題そのものの頻度を客観的にとらえていく作業と、実際にそれらに変化が起こるようにリハビリをためしていく作業からなる、という点です。リハビリは、カウンセリングの中でも行われますし、カウンセリングとカウンセリングの間に課される「宿題」としても継続することがもとめられます。宿題というと、負担の大きさをイメージしてしまうかもしれませんが、それだけ改善効率が高まる、つまり、早く・安く(カウンセリングの回数を少なく)よくなれるということでもあります。もちろん、多少時間がかかってもいい、カウンセリング料がかさんでもいい、そのぶんじっくりすすめたい、というのであれば、そのペースで支援させていただきます(実際には、少しでも早く効率的に、という方が大半です)。

Q:うつ病(うつ状態)の場合どのような認知行動療法になりますか?

A:生活の中で、気分をモニターしてもらいます(セルフ・モニタリング)。そこで落ち込みや気分の変動のパターンをとらえます。まず当然ですが、生活の中に「棘」があれば、その棘をできるだけ少なくすることが優先されます(環境調整、刺激性制御)。その上で、次の2つの方法のうちいずれか、あるいは、両方が選択されます。(1)出来事とその出来事の受け止め(自動思考、歪みのある信念や認知)、および感情(気分)の関係を生活の中の出来事に応じてとらえ、そのなかの、認知を具体的に置き換えて行く方法(認知再構成)、(2)停滞した生活、つまり、活動性の低下した生活の中で、活動を段階的に増やし、活動から得られる快感を高めて行く方法(行動活性化)、です。うつ病、うつ状態の方には、過剰な心配、臆病さ(体験の回避)、自分を出せない(自己主張の困難)、感情の抑制、などがあり、かつ、依存症的になっている生活パターン(薬物やアルコールから、ギャンブル、買い物、インターネットなど、さらには特定の人間関係への依存)が認められることもありますので、上記の環境調整や(1)や(2)をすすめつつも、それらの困難に具体的な対処方法を考案しあてはめていきます。その対処方法としては、リラクセーション法、催眠暗示による方法、少し勇気を出して苦手なことにチャレンジしていただく方法、感覚を研ぎ澄ます方法や逆に麻痺させる方法などがあります。もちろん、問題を抱えたご本人のご家族、パートナーにご協力いただくこともよくあります(家族療法のように、毎回複数の方で受けていただく認知行動療法もありますが、それが必須というわけではありません)。なお、不登校やアパシー(本業にだけ取り組めなくなる状態)、ひきこもり、といった、児童期から思春期・青年期に多い問題でも、上記と基本的に同じとなります。。

Q:恐怖症や不安症あるいは「気にしたくもないのに気になる」問題に対しては?

A:公共の乗り物や場所・外出先での急な体調不良が怖い(パニック障害)、注目される状況や人前で何かをする状況あるいは人に不快さをもたらしかねない状況が怖い(社交不安)、トラウマと関係する場面や刺激になかなか慣れない(PTSD)、いつも何かを心配しているような状態が持続するので気が休まらない(全般性不安障害)、特定の状況(高所)や刺激(小動物や怪我や血など)が怖くて仕事や学業に支障を来している、というものがこれらにあたります。ご本人としては「怖いから避ける」という気持ちでしょうが、これについて逆の発想、つまり「避けるからいつまでも怖いままとなる」という理解に立っていただく必要があります。この考え方に基づいて、「逃げる」の程度を段階的に小さくしていき、苦手な対象に感覚を麻痺させ、怖い気持ちが自然に蒸発していくようになることをリハビリしていただきます。エクスポージャーとか、反応妨害(儀式妨害)とよばれます。このような方法については、「それができるくらいなら悩んでいない」と思われるでしょうが、結局はこれがより確実な改善方法なのです。よく精神安定剤やそれに類する方法(飲酒がその代表例)で「気を紛らす」ことも選択されますが、それはしばしば、「依存」をもたらしますし、そのことによって生活全体の質を低下させますので、あまりおすすめできません。

なお、「意味の無い、ばかげた考えを浮かべてしまうことをやめられない」、「あるルールに従ったアクションをとらないと不安でしかたがないのだが、そのせいで生活が破綻しかけている」という状態の心の問題は、特に、強迫性障害とよばれます。これについても、「儀式的なアクションで楽になる」のを徐々に減らし、「怖い気持ちや嫌悪的な感覚に我が身と我が心をさらし、徐々に平気にしていく」リハビリが有効です。避けたい、紛らしてしまいたい、という衝動と向き合う作業をあれこれ試していくことになります。

原理的にはとてもシンプルですが、実際には、さまざまな進め方の工夫がもとめられます。実際には、リハビリをおこなえば行っただけ、気持ちが楽になり、生活から楽しみが得られるようになってきます。「心が軽くなる」という体験です。このような体験がともなうことで、また次のリハビリに挑む気持ちもたかまってきます。強い動機付けが最初から必要で、それがないと進まない、ということはありません。

また、ここでも、家族やパートナーが、症状の固定に一役かってしまっている場合がよくありますので、これらの方にも認知行動療法について理解していただき、リハビリに協力いただくことが大切です。特に、子どものあるいは、なにかと家族に頼りがちになっている方の怖がりやとらわれにはそれらが不可欠です。

Q:止めようと思っているのに止められない習慣で困っています。

A:いわゆる依存症あるいは嗜癖の問題もさまざまです。代表的なのは、アルコールや薬物(違法なものから喫煙まで)の依存でしょうか。これについては、専門の病院で薬物療法を含めた治療をおすすめします。この他、行為の依存とよばれる問題もあります。代表各はギャンブル依存です。この他、買い物依存、ネット依存、窃盗(いわゆる万引き)依存、なども決して珍しくありません。依存という言い方はされませんが、性加害行為(盗撮や覗きといったものからストーカー行為あるいは強姦衝動などまで)、自傷行為(リストカットや抜毛癖)といったもの、さらには暴力や虐待、放火の衝動と行為、拒食や過食と嘔吐の繰り返し、チック(そうするつもりがないのに繰り返される動作で、発声型と動作型がある)などです。これらは現在のところ、決め手となる薬物療法がないこともあり、一般の医療機関でも改善が難しく、ながいこと本人と家族で問題をかかえ、時に離婚など家族の崩壊、自殺やその未遂、犯罪を重ねてしまう、という結果になりがちです。

認知行動療法には、機能分析という分析方法があります。どのような心理、性格特性などがそのような行為をさせるのか、という視点ではなく、そのような行為はどのようなメリットを本人にもたらしているのか、という点から困った行動(癖)の変容を計画していく手法です。このような「行為の役立ち」は、本人が自覚している場合もあれば、自覚できていない場合もあります。それらをできるだけ客観的な視点から捉えます。多くの場合、ある状況でそのアクションをとらずにいられないという「衝動」にかられますので、その衝動の受け流しを工夫し、よき方法をリハビリすることが必要となります。不安から逃れたい、という衝動もそうですが、これらの衝動を受け止め、それが時間をかけて蒸発し抜け出ていくのまでを心穏やかに見守るような心の働かせ方をトレーニングする必要もあります。最近ではこれは、マインドフルネス訓練とよばれ注目されています。

もちろん、そのような衝動が生じ難いように、あるいは衝動が生じかけた時にそれをおさめるための対処をとりやすくする工夫を考えることも重要です。衝動をひきおこす「ひきがね」の調整や行為を物理的にとりにくくする工夫(刺激性制御)、行為をとっても衝動がおさまらない(つまりやっても効果がない)ようにする工夫(随伴性制御)、他のあまり問題にならない方法で衝動が収まるやり方の習慣を強める(代替行動分化強化)、衝動が起こったときに「自分に許可を出してしまう考え」つまり「言い訳」(自動思考)のセルフコントロール、などが組み合わされます。

衝動と向き合うのはなかなかつらいものですが、ここにおいても家族やパートナー、身近な支援者の方の理解と協力は重要です。時に、これらの方が、止められない行為の繰り返しの「片棒を担いでしまっている」場合もあります。イネイブリングとよびます。このような悪循環を冷静にとらえ、具体的に前向きにとりくんでいくための指南書が認知行動療法です。

Q:認知行動療法に限界はありますか? 向き不向きの問題や再発のリスクは?

A:認知行動療法には、心理的な方法であるがゆえの限界があります。生理学的な限界、生き物としての人間の特性を超えた変容は無理です。ただし、心の問題の大半、そして、身体的な障害のかなりの部分は、100%生物学的なことが原因になっているわけではなく、生活習慣、あるいは、過去経験の中で身につけてしまったものが関わっていますので、認知行動療法が貢献する割合は高いと言うことができます。例えば、生活習慣病の改善のためにも認知行動療法は高く評価されています。睡眠障害や性の悩みも、生活の習慣を改善することで、場合によってはお薬の治療よりも大きな成果をもたらすことがあります。

強制でなくある程度本人自身が理解し取り組んでいただく必要がある、ということによる限界もあります。「本人にその気がなければだめですね」とはよく言われることです。たしかに、本人の動機づけは、症状や問題を悪くする習慣を減らしリハビリにとりくむためにも高い方が有利になります。しかし、(1)本人でなく周囲の者がかかわりを替えるだけで改善する見通しをたてることができる、(2)ほんの少しでも取り組んでいただくことで動機づけが徐々に高まっていることも多いので最初から高い動機づけがなくてもかまわない、(3)改善のメカニズムが理解しやすい(きわめて常識的であり専門性は要求されない)のでまず理解することからすすめていきやすい、といった特徴がありますので、本人の動機づけにこだわる必要はありません。

再発の問題ですが、認知行動療法が他の心理的な方法よりも再発しやすい、というデータは存在しません。改善しやすさは同等の薬物療法と比べ、再発率では認知行動療法が上回る、という研究報告もあります。ただし、再発があり得ない、ということはありません。生身の人間のことですから、あらゆる心の問題に、一定の割合で再発はあり得るのだと考えるべきでしょう。比較的効率良く改善が得られる認知行動療法ですから、再発が多いように見えるのかもしれません。「顕著な改善」がなければ「再発」もあり得ないでしょう。

さて、再発したらどうするか、ですが、一度は成果があった認知行動療法であれば、ふたたび取り組んでいただくのが基本です。かつて、とりくんでいたリハビリに再チャレンジするだけでも収まる場合も少なくありません。状況が変わっているので、少し、リハビリに工夫が必要なこともあるでしょう。かつて担当したセラピストであれば、支援策の提供も早いでしょう。ある問題を起こしやすい、ある症状に悩まされやすい素質や生活状況というのはさまざまなレベルであるものです。問題や症状の根本原因にかかわり、その根本を改善する、ということが現実に可能であれば認知行動療法も不要となりますが、それは多くの場合「ほとんど無理」といってよいほど難しくものです。その難しい課題に長いこと時間をかけて、結局、過ごしやすい生活がなかなか手に入らない、というのでは本末転倒でしょう(20世紀にもてはやされた心理療法の多くがこの隘路にはまっていました)。再発はあり得るが、再発をおそれなくてすむようになる、なぜなら、具体的でわかりやすい問題理解と効率よいリハビリの方法を体験できるから、というのが認知行動療法のメリットです。

集団・個別の認知行動療法の内容についてのQ&A

Q:原因が不明でもいいのでしょうか?

A:人という生き物は、意外なほどに、直後の行動の快・不快に左右される生き物であることが知られています。頭では、「やり続けて勝てるハズがない」と理解していても、つい、「あと少しで勝てるチャンスをみすみす逃してしまうのはもったいない」などと考えてしまうわけです。そして、生活の中で常に、ギャンブルで勝利する方法と、自由になる時間とお金の確保しか考えられなくなります。
ここで、性格がこうだから、とか、生い立ちや育った環境がこうだったから、ということにこだわっていても、改善は得られません。遺伝や体質のせいにしてもしかたありません。まさに、「今」どう、生活のパターンを変えていくことができるか、に集中すべきなのです。

Q:「強い意志」が必要ですよね?

A:意志の力ほど、あてにならないものはありません。意志が強くても、ダメな時はだめです。相当な意志の力を必要とされる業績を残した人でも、依存症になっている例はいくらでもあります。
必要なのは、ギャンブルから距離をとりやすくするための生活の工夫です。手がかりとなる刺激を撤去する、といった簡単な方法から、高度な方法まで、組み合わせます。

Q:認知行動療法には、試練をともないますか?

A:楽な気持ちばかりで、つらさをまったく感じないで、というのは無理かもしれません。身体の一部機能を損ねた方のリハビリテーションとよく似ています。
ただし、ちょっとしたつらさをうまく緩和させながら、徐々に意欲が高まるように、時には、ゲーム的な楽しさや達成感を感じながら、すすめられるようにできています。グループの場合だと、連帯感も加わります。

Q:認知療法のポイントはどこにありますか?

A:第一に、生活の見直しですね。職場などに、いつもギャンブルの話題をしてくる同僚などおられたら、その人を退職させるわけにはいきませんから、うまく話題を避ける方法を身につけるべきです。ストレス解消がギャンブルになっているなら、他の、ギャンブルに負けないワクワクを見つけ、それに入り込みやすくします。 
止めようと思っているギャンブルをしてしまう瞬間は、頭の中で「言い訳」をつぶやいているものですが、そのパターンから抜け出す工夫もあります。ギャンブルが嫌いな気持ちになる方法、ギャンブルしたいという衝動(渇望)を自然乾燥させる方法などを身につけてもらいます。